SF小説から、推理小説

前に更新したとき、SF小説を読んでいると書いたと思う。
あのあと、円城塔の本を読んだ。論文を読んでいるような気分になるけど、私はこういう掴み所の無いような文が好きだ。夢の中みたい。それに私もこういう、他人に理解してもらえないよく分からないことを口にする。同じようなことを考える人がいて安心した。

前文と関係ないけど、気配を感じることって私以外の人もよくあるのだろうか?

あっ、と思って顔を上げて、今誰かがいたと思ったところに誰もいない、とか、ふいに後ろが、前が、窓の外が気になるのだ。

閑話休題
円城塔を読んでいて、ふわふわした。
私もこういうときがあるからこそ、リアリティを感じる。
しかしだんだん疲れてきた。一気に読むのは難しい。違うのが読みたい。

そんなとき屍人荘の殺人の映画の予告を映画館でみて、本格ミステリとのことで観に行くか悩んで調べていたらネタバレを読んでしまい、え、面白そうどんなトリックなのか、、、、と本を読んだ。

映画か原作か、先にどちらかに触れたのを別として、私はとりあえず原作を読むことにする。

大学生のとき、映画とその原作小説を比べてレポートを書く授業があり、私は絶望した。

思い返せばそもそも、題材がよくなかった。
スティーブン・キングの『アトランティスの心』を選んだ。
もともとレポートを書くにあたって、さっさと作品を決めたくて、手っ取り早く映画化された小説が沢山ある人を想像し、スティーブン・キングスティーブン・キングといえばそのころ映画版シークレットウィンドウを一年に何回か見るほどよく見ていたので、これならすぐにレポートが書けると地元の図書館に小説を借りに行った。

もしこの原作がなくても、スティーブン・キングなら他にも本はあるだろうと。

図書館について愕然とした。
スティーブン・キングの小説が5冊ぐらいしかなかった。あのスティーブン・キングなのに。
その中で映画化されているとすぐに分かったのがスタンドバイミーだけだった。しかしスタンドバイミーは二巻に分かれており、読む時間がない。

そこで他の三冊を見たところ、初めて聞いたアトランティスの心の表紙がDVDのパッケージのような写真だった。これは間違いなく映画化されている。迷いはなかった。

そして早速読み始めた。しかし進まない。
私はそのあと今に至るまで、何度かスティーブン・キングの小説を買ったがどれも30ページぐらいで力尽きる。理由は分かっている。文体が私には合わない。しかしこの作品だけかも、、スティーブン・キングは悪くない、、と何度も思い、ときどき買ってみるものの、どれも読めない。

こう、訳された文がすっと入らない。田舎のおじいちゃんがゆーっくり、ときどきガミガミ話しているのを我慢して聞いているような気分だった。

こうしてアトランティスの心は二週間経っても全く進まず、諦めて映画化された映画を先に観ることにした。そして私はたった二時間足らずで見終わり、この二週間は何だったのかと落胆した。

映画は要約された映像作品だと思う。本ほど文字と化した言葉を脳裏に焼き付けることができない、つまり詳細まで観た人"全員に"想像してもらうのは難しい。
映像はいい意味で、焦点の当てられた場所に目が行く、画面に映らないものを想像する暇がない。

本は伝えたいことを文字として現すと、飛ばして読む人はほぼいないだろうから、伝えたいことを文字にさえしていれば、想像にもれなく入れてもらえる。

アトランティスの心の映画は、二時間もない映像で小説を要約して伝えてくれた。私があんなに苦労したものを、すーっと簡単に。それが悲しいと感じた。映画と小説のここが違うんだよというところを見た気がした。

眉をひそめたとか、嬉しい顔をしたとか、わざわざ文字にしてくれない、俳優の演技による、または原作を脚色した際にシーンそのものが削られる等、小説とは畑の違う別物と考えたとしても、比べざる負えない。

そのとき、何を優先するかで原作小説が好きか、映画かされた映像が好きか別れると思う。

私は文字を追うのが好きだ。自分でページをめくって登場人物を追いかけるのが好きだ。次はどこにいくの、明日はどうなるの、次の瞬間。そして読み終わる。自分で最後の一文を読む、そのあとの空白。

映画を観てしまうと、この次の瞬間のどきどきが少なからず減ってしまう。小説を読んでから映画を見ると、違いを発見する度そうきたか、とわくわくする。

わたしは、原作小説、映画化作品、先に手に取るなら小説を選ぶ。

アトランティスの心のとき、たった二時間足らずの映像で物語の多くを受け取ってしまった悔しさが、なぜか悔しさがあるような気がするからかもしれない。

だいぶ話が逸れたが、屍人荘の殺人は面白かった。ということでオススメの本格推理小説があれば、ぜひ教えて下さい。最近出た推理小説あんまり読んでないです。愉快なタイトルのはあまり読まないです。本格なやつがいいです。

いいのが思い付かなかったので、とりあえず三体を読みます。またSFです。